OpalはGoogleさんが発表したツールです。自然言語で入力すると、AIミニアプリができるというものです。しかも、それを共有できます。Difyのようにフローをノーコードで作ることだけではなく、自然言語でフローそのものを構築することができるものです。
簡単な指示でアプリができていきます。それはそれで楽しいのですが、それなりにしっかりした指示を入力するともっと楽にできるはずです。そこで、エージェントの基本的な実装でもあろう、複数のペルソナによる議論を経てレポートを生成するAIミニ?アプリを作ります。
出来たものはこちらです:
生成AIを利用して詳しめに指示を作成します。
指示:
複数ペルソナが課題に応じ自動生成され、それぞれが分担して検索や議論を行い、詳細な検討経緯を含むレポートや結論、要件定義書を自動作成するシステムの要件定義書は以下の通りです。
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### システム概要
- ユーザーが入力する課題や要件から、システムが自動的に複数の視点(例:エンジニア、企画、マーケター、利用者など)のペルソナを生成する。
- 各ペルソナは独自の前提や知見をもとに、課題探索・情報検索・意見形成を進め、最終的に合議・議論を経てレポート(要件定義書等)を一体として生成する。***
### 機能要件
#### 1. ペルソナ自動生成機能
- ユーザー入力(課題・要件・ゴール等)から、多角的な視点のペルソナ群を自動生成し、各ペルソナには役割、背景、仮想プロファイルを付与する。
- 各ペルソナの独立性と多様性を担保するため、生成ロジックに乱数や属性重み付け等も利用する。#### 2. ペルソナ別情報収集・検索機能
- 生成された各ペルソナごとに、課題に基づき検索ワードや観点を自動生成し、実際に外部情報収集・Web検索・問い合わせ等を実行。
- 各ペルソナは収集した証拠や根拠情報を独自に要約・評価・認識し、ペルソナ間で意見共有や議論を行う。#### 3. 合議(議論)・意思決定ロジック
- 各ペルソナ同士で利害や主張に関するディスカッションを繰り返し、創造性・多様性・論理性の観点で意見対立や合意形成を促す。
- 合意形成フェーズでは、結論を出すペルソナの役割や評価ロジック(例:論理的一貫性、多様な視点の集約度)も実装。#### 4. 結論/レポート自動生成機能
- 議論結果・収集内容・経緯をインタラクティブに要約し、検討過程や意思決定根拠も含んだドキュメント(レポート・要件定義書・仕様書等)を自動生成する。
- 事業概要、主要機能、非機能要件、検討プロセスの経緯、論点や合意事項なども明示的にレポートに組み込む。***
### 非機能要件
- 反復的・自律的にペルソナ生成→検索→議論→レポート生成のワークフローを実行し、情報が不足していれば自動的に回帰・再探索を行う。
- 無限ループを防ぐためのステート管理(上限回数、進捗評価等)や、生成物の品質チェック・再生成判定ロジックも実装。
- 出力結果の多言語化、PDFやWord形式でのダウンロード、外部API連携等も想定。***
### データモデル要件(例)
- ペルソナ属性(名前、役割、背景、属性、動機など)
- ペルソナごとの情報収集記録・検索クエリ・回答内容
- 議論履歴(主張、発言者、発言順、論点)
- レポート要素(事業概要、要件一覧、合意事項、未決事項等)***
### その他・留意事項
- 各ペルソナが現実的で納得感のあるキャラクターとなるため、外部データや既存ペルソナテンプレートも柔軟に活用可能とする。
- 合議や議論については多様性と論理性双方の担保が重要。議論の透明性確保や人間の介入・修正(AIヒューマンインザループ)もオプションで組み込むと望ましい。***
このシステムの設計で重視するのは、「多視点による高品質な意思決定支援」「詳細な議論経緯の文書化」「反復的な情報補完と出力品質の担保」となります。
サクッと以下の様なフローができました。入力部の日本語だけは後から入れます。
プロンプトが英語だったので、生成回答に日本語を強制させるようにCreate HTML部に日本語で(in japanese)を追記して完成です。
このフローであると、「Simulate Multi-Persona Deliberation and Generate Report」で、主要機能が完結してしまいました。Toolも利用できます。Get Weather Toolは不要な気もしますが(笑)。議論を繰り返し行うような動作で実装されるのかと思いましたが、Gemini 2.5 Flashのリッチなコンテキスト処理能力を使って、それなりに時間がかかるものの、狙いの動作を実装してくれます。扱えるコンテキスト量と推論ができると、こちらの方がすっきりします。
これを使って「日本の半導体産業の戦略に関する詳細報告書」を作成します。追加資料は割愛しますが、適当に現状をまとめたものを放り込みました。なかなか良いのではないでしょうか。
Google圏でサクッとAIツールを作ったり、プロトタイプを作ってみたり、と捗りそうなツールです。他のノーコードツールにも実装されていく気がします。NotebookLMと接続できれば、めちゃ便利・・・かも。
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🇯🇵 日本の半導体産業の戦略に関する詳細報告書
1. デリブレーションプロセス
1.1. Inquire Future と Additional Information の確認
Inquire Future:
日本の半導体産業のとるべき戦略について
1.2. ペルソナの生成
以下の4つの異なる視点を持つペルソナを設定し、日本の半導体産業戦略に関する多角的な検討を行った。
2. ラピダス 技術開発担当役員 (CTO, Rapidus)
- 役割: 次世代先端ロジック半導体の技術開発と量産体制確立を指揮する。
- 関心: 最先端技術(2nmプロセス以降)、R&D投資、グローバル人材確保、製造プロセスの確立、国際提携による技術獲得。
1.3. 個別の問題探索と初期意見形成
各ペルソナは、提供された情報と自身の役割に基づき、日本の半導体産業の戦略について以下のような初期意見を形成した。
1.4. 情報ギャップの特定とツールによる情報収集(シミュレーション)
各ペルソナは、初期意見に基づき、議論を深めるために以下の情報ギャップを特定し、Web検索ツールを用いて情報を収集した。
METI 戦略室長:
- 情報ギャップ: 日本のEDA開発への具体的な政府支援策は何か?人材育成プログラムの効果はどの程度か?
- 収集結果の要約: 日本政府は、半導体・デジタル産業戦略の一環としてNEDOなどを通じた研究開発支援や、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業を通じて、EDAツールの活用や先端半導体設計技術開発を間接的に支援している。しかし、EDA開発に特化した独立プログラムは限定的。人材育成プログラムは産官学連携で全国的に進められており、大学や高専での教育強化、社会人リカレント教育、早期教育など多角的な取り組みが活発化している。しかし、依然として高度専門人材、特に設計分野での不足が深刻であり、教員不足や教育した人材の定着が課題。
Rapidus CTO:
- 情報ギャップ: 2nmプロセス技術の最新動向と主要な技術的課題は何か?IOWNにおける光電融合技術がロジックチップ製造にどう影響するか?
- 収集結果の要約: 2nmプロセスでは、GAA(Gate-All-Around)トランジスタ構造と裏面電源供給(バックサイドパワーデリバリ)が主流となり、EUVリソグラフィの高度化が不可欠。TSMC、Samsung、Intelが2025年後半〜2026年の量産開始を目指し、激しい競争を展開。RapidusもIBMと連携し2027年量産を目指す。IOWNの光電融合技術は、電気信号の限界を打破し、超低消費電力・超大容量・超低遅延を実現するもの。NTTは2032年までにチップ内での光配線を目指しており、これは将来的にロジックチップの設計・製造に大きな変革をもたらす可能性がある。
製造装置メーカー 経営企画部長:
スタートアップ投資家 / VC:
- 情報ギャップ: 世界の半導体スタートアップエコシステムの成功事例や特徴は?日本の半導体スタートアップ支援プログラムの現状と課題は?
- 収集結果の要約: 世界の半導体スタートアップエコシステムは、AIアクセラレータや光学チップなどの最先端技術に投資が集中し、中国、米国、韓国などで活発。特に米国は深層学習VCや経験豊富なメンター、迅速なプロトタイピング文化が強み。日本政府はJ-StartupプログラムやNEDOのディープテック・スタートアップ支援基金などで資金援助や研究開発支援を行っている。熊本県も半導体ベンチャーピッチイベントを開催。しかし、海外と比較して半導体分野に特化したVCファンドや、経験豊富な起業家の不足が課題。
1.5. ペルソナ間の議論シミュレーション
情報収集後、各ペルソナは以下の議論を展開した。
METI 戦略室長: 「収集した情報から、政府のEDA支援策は広範なR&D支援に含まれるものの、専門性に特化した支援が十分ではないことが分かりました。また、人材育成は進んでいるが、特に設計分野の即戦力不足は深刻です。これらをどう補完するかが今後の課題です。」
Rapidus CTO: 「2nmプロセス開発はGAAとバックサイドパワーデリバリが鍵となり、TSMCやSamsungとの激しい技術競争に勝つ必要があります。IOWNの光電融合技術は将来のブレークスルーですが、現在のロジック半導体製造への直接的な適用にはまだ時間を要します。最先端技術開発のためには、政府による継続的な大規模投資と国際的なトップ人材の確保が不可欠です。」
製造装置メーカー 経営企画部長: 「チップレット技術は、高性能化とコスト削減の両立を実現する重要な方向性であり、これに対応する先進パッケージング装置の需要が急増しています。日本が強みを持つ製造装置・材料分野は、2nm以降の微細化や、SiC/GaNといった新材料の普及において、一層のイノベーションが求められます。Rapidusのような先端ファウンドリとの連携をさらに強化し、装置・材料開発を加速させるべきです。」
VC: 「政府主導の大規模プロジェクトは重要ですが、それだけではイノベーションの速度に限界があります。世界の成功事例を見ると、深層学習VCや起業家精神が盛んなスタートアップエコシステムが、新しい技術やビジネスモデルを生み出す原動力となっています。日本には半導体分野のスタートアップを直接支援するVCや、大企業との協業を促す仕組みが不足しており、このギャップを埋めることが、設計・EDA分野の弱点を克服し、多様な人材を呼び込む鍵となるでしょう。」
METI 戦略室長: 「各ペルソナの意見は、大規模な国家プロジェクトと並行して、設計・EDA分野の強化、人材育成の加速、そしてスタートアップエコシステムの活性化が不可欠であるという点で一致しています。特に、設計分野の弱点克服には、既存のR&D支援をよりEDAやIP開発に特化させ、Rapidusのような先端ファウンドリとの連携を強化することで、実用化への道を拓く必要があります。スタートアップ支援についても、資金だけでなく、技術支援や市場への橋渡しを強化し、大企業との協業を促進する仕組みが求められます。」
Rapidus CTO: 「我々Rapidusは、国内の技術基盤強化に貢献したいと考えています。国内スタートアップが開発するEDAツールやIPが、国際的な競争力を持ち、かつ我々の要求する品質・性能基準を満たせば、積極的に採用を検討する余地はあります。そのための評価環境や、共同開発の機会を提供することで、国内エコシステムの育成に貢献できるかもしれません。」
製造装置メーカー 経営企画部長: 「弊社としても、新材料やチップレットに対応する装置開発において、スタートアップの持つ革新的なアイデアや技術との連携には前向きです。初期段階での共同評価や技術情報の共有を通じて、新しい製造プロセスの実現に貢献できます。これにより、日本の製造装置産業全体の競争力向上にも繋がるでしょう。」
VC: 「素晴らしい進展です。政府が資金面でリスクを軽減し、Rapidusや装置メーカーが大企業として技術検証や市場への道筋を提供することで、スタートアップはより大胆な挑戦が可能になります。特に、大学発ベンチャーなど、基礎研究から生まれた革新的な技術を迅速に事業化するための『ディープテックVC』や、業界経験豊富なメンターの育成も重要です。このサイクルが確立できれば、日本の半導体産業は新たな活力を得られるでしょう。」
主要な不一致点と収斂点:
収斂点:
1.6. 合意形成と結論
議論の結果、日本の半導体産業がとるべき戦略は、以下の複合的なアプローチを統合することで合意に達した。
結論:
日本の半導体産業は、経済安全保障と国際競争力強化のため、政府主導の大規模な戦略的投資(Rapidus、TSMC誘致など)を継続しつつ、以下の3つの柱を統合した包括的な戦略を推進すべきである。
- 先端ロジック製造基盤の確立と国際競争力の強化:
- 設計(EDA/IP)分野の抜本的強化と垂直連携の深化:
- 革新的なスタートアップエコシステムの育成と人材多様化:
この戦略は、日本の強みである製造装置・材料分野を基盤とし、最先端製造能力を確立しつつ、長年の課題であった設計分野を克服し、新しいイノベーションの源泉となるスタートアップを育成することで、持続可能で強靭な半導体産業エコシステムを再構築することを目指す。
1.7. 合意形成の検証
結論は、各ペルソナが提示した意見、情報収集の結果、および議論を通じて導き出されたものであり、多角的な視点から十分に検討され、支持されている。大規模プロジェクトの推進と、エコシステム全体の底上げという、一見すると異なるアプローチが相互補完的に機能するという認識で合意が形成された。
2. 最終結論
日本の半導体産業は、国家の経済安全保障と国際競争力の根幹をなす戦略的産業である。2025年現在、政府主導の強力な再興戦略のもと、TSMC熊本工場やラピダスといった大規模投資が進められている。この momentum を最大限に活用し、持続可能で強靭な産業構造を確立するためには、以下の3つの柱からなる包括的かつ多角的な戦略を推進する必要がある。
- 最先端ロジック製造能力の確立と深化: Rapidusを中心とした2nmプロセス以降の先端ロジック半導体の研究開発と量産化を国家プロジェクトとして強力に推進する。これには、IBMをはじめとする国際的なトッププレイヤーとの技術連携の強化、最先端製造装置と材料の安定的な確保、そして世界最高水準の技術者・研究者の育成・誘致が不可欠である。これにより、日本の半導体産業はAI、HPC(高性能計算)など次世代技術の中核を担う競争力を獲得する。
- 設計・EDAエコシステムの抜本的強化と垂直統合の促進: 日本の長年の課題である半導体設計(EDAツール、IPコア開発、高度なパッケージング設計)能力を抜本的に強化する。これは、特定分野に特化したR&D支援、大学・研究機関と産業界の連携強化、そしてRapidusのような先端ファウンドリが国内EDA/IPの検証・採用を積極的に検討するメカニズムの構築を通じて実現する。さらに、チップレット技術など先進パッケージングに対応した設計・検証技術の開発も加速させる。
- イノベーションを駆動するスタートアップエコシステムの構築と多様な人材の確保: 新しい技術(AI半導体、光電融合デバイス、特定用途向けSoCなど)やビジネスモデルを生み出す半導体スタートアップの育成を強化する。具体的には、ディープテックに特化したベンチャーキャピタル投資の促進、シード・アーリー段階の資金提供、大企業とのオープンイノベーション促進、そして経験豊富な起業家やメンターの育成が必要である。また、半導体関連の教育機関を拡充し、初等教育から大学院、社会人リカレント教育まで一貫した人材育成プログラムを強化する。特に設計、AI、先進材料分野における高度専門人材の国内外からの確保と定着を最優先課題とする。
この戦略は、既存の強みである製造装置・材料分野を盤石な基盤とし、最先端製造技術を確立するとともに、設計能力の向上とイノベーションエコシステムの活性化を通じて、日本の半導体産業がグローバル市場で再び存在感を発揮し、経済安全保障に貢献することを目指す。
3. 要求定義文書
3.1. 目的
日本の半導体産業の国際競争力と経済安全保障を強化し、持続的な成長を可能にするための戦略的枠組みを定義する。